人は、たくさんの役割を担って生きています。仕事、家族、仲間、そして自分自身。どれも大切にしたいと思いながら、現実には一つに偏ってしまいがちです。その場の雰囲気やまわりの期待に応えているうちに、気づけば本当にやりたいことが置き去りになっている。がんばっているのに、うまくいかない気持ちが残ります。
充実して過ごすために、私が大切にしていることは二つです。自分にとって本当に大切な役割をはっきりさせること。そして、その役割のバランスを取る仕組みをつくることです。
本当に大切な役割を、問い続ける
その役割は、本当に自分にとって大切なものか。まわりの期待からやろうとしているのではないか。自分の価値観は、分かっているようで分かっていないものです。だから、くり返し問い直す必要があります。
本物の役割だと言えるなら、ときにいやな気持ちが生まれても、目指す方向に向かって本気でがんばれます。
思いだけでは、続かなかった
『7つの習慣』を学び、人生の方向性が見えてきたころ、私は大切な役割が多すぎて途方に暮れました。小児科医、経営者、ブログを書く人、ファシリテーター、父であり夫、仲間、そして自分自身。やりたいことが膨れ上がり、どれだけこなしても追われる感覚が消えません。
どうあがいても、一日は24時間です。思いは大切ですが、それだけでは足りませんでした。必要だったのは、仕組みでした。
週で組み、年で整える
いちばんバランスを取りやすいのは、一週間の単位です。週のはじめに、役割ごとに一つずつ、具体的にやることを時間割に入れます。医師として調べものを一つ、経営者として手順を一つ見直す、家族と公園に行く。役割は3〜5つを目安にします。
一方で、資格の勉強や子育ての真っただ中のように、どうしても一つの役割に集中する時期もあります。それは年の単位で見ればよいのです。いまはこの役割の比重が高いけれど、それが一段落したら、別の役割に切り替える。長い目で見て、全体のバランスが取れていればよいと考えています。
小さな改善でも、毎日積み重ねれば、一年後には大きな違いになります。
道具は、自由を得るための秘書
仕組みと聞くと、窮屈な印象があるかもしれません。けれども、私にとって仕組みは、あれもこれも大切にしたい自分が、自由を得るための秘書のような存在です。
私は、方向性を確かめる手帳、計画とやることを管理するタスク管理の道具、今日一日にやることを並べる道具の三つを使い分けています。今日やるべきことを道具が示してくれるので、目の前のことに集中できます。
これは、医療の現場でも同じです。人を増やして気合いで回す前に、迷わない仕組みを先につくっておく。そうすれば、チームの一人ひとりも、診療や患者さんとの対話という本質の仕事に、余裕をもって向き合えます。
関連して、院長の今日は、三つに絞るも書いています。
この考え方を自院でも取り入れてみたい医療機関の方は、「医療機関の方へ」のページからご連絡ください。
文:小森広嗣(小児外科専門医)
