記事か、動画か ── 診察室の外に置く説明の選び方

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説明を診察室の外に置こうと決めたとき、最初に迷うのは「何で置くか」です。読んでもらう記事にするのか、見てもらう動画にするのか。

以前の私は、説明できることは何でも動画にしたいと考えていました。けれども、それでは撮影が追いつかず、「動画ができるまで待つ」説明ばかりが積み上がっていきました。いまは、決め方を変えています。

既定は記事、動画は「昇格」

外に置く説明の既定は、記事です。記事なら、その日のうちに出せます。動画は、原稿を書き、撮影し、編集するまでに時間がかかります。

いちばんよくないのは、動画ができるまで何も置かないことです。だから、まず記事で走らせる。そして、繰り返し必要とされると分かったものを、動画に「昇格」させる。記事は動画の原稿になるので、無駄にもなりません。

外に置くかどうかを決める2つの問い

そもそも外に置くかどうかは、2つの問いで決めています。

一つめは、受診の前に見ていただくと、診察室の時間が濃くなるか。二つめは、受診の後に渡すと、家で続けられるようになるか。

どちらにも当てはまり、しかも何度も同じ説明をしているものは、動画まで育てる価値があります。どちらか一方なら、まずは記事。どちらにも当てはまらないものは、診察室で話せば十分です。分かれ目は、大切な話かどうかではなく、繰り返し同じ説明をしているかどうかです。

「やってもらう話」は、最初から動画に

ただし、例外があります。家で何かを「やってもらう」説明です。

お薬の塗り方、ケアの手順、体の支え方。こうした説明には、文章では運べない情報が含まれています。ゆっくりとはどのくらいの速さか。どのくらいの力加減か。体をどう置くのか。記事をどれだけ丁寧に書いても、この感覚は伝わりません。

迷ったときは、こう考えます。これは「分かってもらう」話か、「やってもらう」話か。やってもらう話なら、件数にかかわらず動画にします。指導にかかる時間がいちばん減るのも、ここです。

昇格の合図は、同じ質問が返ってくること

記事を動画に昇格させるかどうかは、厳密に数えなくても見えてきます。同じ説明を、週に何度もしているか。その記事を、何度も送っているか。

いちばん分かりやすい合図は、説明したのに、次の受診で同じ質問が返ってくることです。それは、記事では届いていないという知らせです。記事は、読む余裕のある方にしか届きません。余裕のないご家庭にこそ届けたい説明は、記事で止めずに動画へ育てます。

本数を目標にしない

もう一つ、決めていることがあります。動画や記事の本数を、目標にしないことです。

撮影を待つ在庫を増やさない。いつも「次の1本」が見えている状態にしておく。記事があるのに動画にしないまま放っておかず、昇格させるか、候補から外すかを決める。外に置く説明は、数を誇るためではなく、診察室の時間を濃くするためにあるからです。

仕組みがあるから、迷わずに積み上がる

記事か動画かを毎回その場で考えていると、それだけで時間が過ぎていきます。決め方を先に仕組みにしておけば、迷わずに一つずつ外に置いていけます。人を増やして同じ説明を分担する前に、説明の置き方を決めておく。仕組みがあるから、人は目の前の子どもと家族に向き合う、本質の仕事に戻れます。

関連して、受診の前に届ける説明は、順番で決まるも書いています。

この考え方を自院でも取り入れてみたい医療機関の方は、「医療機関の方へ」のページからご連絡ください。

文:小森広嗣(小児外科専門医)

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この記事を書いた人

小森広嗣

小森広嗣

小児外科専門医・医学博士。子どものお腹と栄養を、構造と機能の両方から診ている臨床医です。説明を診察室の外にも出し、少人数のチームでも毎日回る仕組みづくりに取り組んでいます。