理念を、明日の行動に落とし込む ── 頑張りが伝わらないときに

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「自分なりに頑張っているのに、なかなか認められない」。医療の現場で、そんな悩みを聞くことがあります。忙しい毎日の中で、組織の理念と自分の行動がうまく噛み合わず、もどかしい思いをしている人は少なくありません。

よくある場面

たとえば、こんな場面を想像してみてください。

患者さんに笑顔で接したい、という思いを胸に、一生懸命働いている新人がいます。患者さんへの対応や勉強に精一杯で、診察室の準備はつい後回しになっていました。あるとき、「診察室の準備が整っていない」と指摘されます。本人はショックを受けます。「こんなに頑張っているのに」と。

「患者さんは、何のために来るのか」

そこで、こう問いかけてみます。「患者さんは、何のために来るのだろう」。答えは、「病気を治すため」です。

「その大事な場所が診察室だとしたら、準備が整っていないとき、患者さんはどう感じるだろう」。レストランで言えば、食事をするテーブルのようなものです。テーブルが整っていなければ、お客さんは安心して食事ができません。

ここで、新人ははっとします。診察室の準備は雑用ではなく、患者さんの安心をつくる仕事だったのだと。

見方が変わると、行動が変わる

頭では大切だと分かっていても、優先順位が変わるのは、その意味が腑に落ちたときです。「後回しでいいこと」が「患者さんを迎えるために最初にすること」に変わる。そうした見方の転換が、行動を変えます。

そして、理念は掲げるだけでは形になりません。目立たない一つひとつの行動が、理念とつながったときに、大きな意味を持ちます。

理念を、仕組みにしておく

ただ、こうした気づきを、毎回一人ひとりとの対話だけで生むのは大変です。だから、理念と具体的な行動のつながりを、先に形にしておくことが大切だと考えています。たとえば、朝の準備の手順に、「なぜこれが患者さんの安心につながるのか」を一行ずつ添えておく。

人を増やして一から教え込む前に、迷わない仕組みを先につくる。仕組みがあるから、人は理念に沿った本質の仕事に、迷わず向かえます。

今できる一歩から

頑張りが伝わらないと感じたら、まずは「何を優先すべきか」を考えてみる。小さな行動を理念とつなげて積み重ねることが、やりがいにつながる第一歩です。

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この考え方を自院でも取り入れてみたい医療機関の方は、「医療機関の方へ」のページからご連絡ください。

文:小森広嗣(小児外科専門医)

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この記事を書いた人

小森広嗣

小森広嗣

小児外科専門医・医学博士。子どものお腹と栄養を、構造と機能の両方から診ている臨床医です。説明を診察室の外にも出し、少人数のチームでも毎日回る仕組みづくりに取り組んでいます。