小児科の看護師が一人前になるまでには、いくつかの段階があります。子どもが好き、という気持ちだけでは足りず、知識と経験を順番に積み重ねていく必要があります。
育てる側から見たとき、その道のりを5つの段階に分けておくと、本人もチームも迷わずにすみます。
1. 小児看護の基礎をそろえる
乳児期から思春期までの成長発達の特徴。小児に多い病気の経過と看護のポイント。年齢に合わせた話しかけ方。体温や呼吸の測り方、処置の介助など、子どもに合わせた基本の技術。
まずはこの土台を、チームの中で同じ形にそろえます。
2. 現場で経験を重ねる
予防接種の前後の観察、健診での計測や発達の確認、感染症の流行期の対応、喘息やアレルギーなど通院の続く子どものフォロー。日々の外来の一つひとつが、学びの場になります。
急変を想定した練習を、定期的にチームで行うことも欠かせません。
3. 心理と地域の視点を持つ
子どもの心の発達や、家族の心の動きを学ぶと、看護の質が変わります。
地域の医療では、同じ病気でも、家族の生活のリズムや価値観、きょうだいの有無によって、無理のない進め方が違います。その家族に合わせて組み立てる力は、地域で信頼される看護師の大きな軸です。
4. 学び続ける
医療は日々進みます。専門誌、学会や研修会、オンラインの学び、院内の勉強会。互いに教え合う時間を、チームの仕組みとして持っておくと、学びが続きます。
5. 現場で、仲間と磨く
最後にいちばん大きいのは、現場での経験を仲間と共有し、一緒に考えることです。座学で学んだことが、実際の子どもと家族に向き合う中で、ひとつにつながっていきます。
育てる側の役目は、いま本人がどの段階にいて、次に何を身につければよいかを、見える形にしておくことです。
段階を、仕組みにしておく
5つの段階を一人の先輩の経験だけで伝えようとすると、教える人によって中身がばらつきます。いまは、段階ごとに身につけることや確認の手順を、できるだけ形にしておくようにしています。
仕組みがあれば、人を増やして一から教え込む前に、迷わない土台ができます。その上で、看護師は子どもと家族に向き合う本質の仕事に時間を使えます。
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文:小森広嗣(小児外科専門医)
