朝、やることのリストを開くと、数十の項目が並んでいる。どれも大切で、どれも急いでいるように見える。気づけば、一日が細かな用事で埋まり、本当に進めたかったことには手がつかないまま夜になる。院長やリーダーなら、覚えのある光景だと思います。
全部を、同時に進めようとしていた
私も、やりたいことは全部やりたい性分です。診療、経営、いくつもの計画、家族のこと、学びたいこと。すべてを同時に抱え、頑張るほど楽しくなくなっていく時期がありました。このままでは燃え尽きると感じたこともあります。
そこから抜け出せたのは、頑張り方を変えたからではありません。選び方を変えたからです。
絞る前に、軸を決めておく
選ぶには、物差しが要ります。私は『7つの習慣』に沿って、自分のミッションと価値観、大切な役割を先に言葉にしています。そこから、今年は何をするか、どの計画を進めるかへ落としていきます。年の目標は大きくしすぎず、ミッションに対して今年は何をするか、くらいにとどめています。遠すぎる目標は、日々の選択の物差しになりにくいからです。
軸があると、今日の数十の項目を前にしても、「これは軸に近いか」で選べます。軸がないまま選ぼうとすると、声の大きい用事や、締め切りの近い用事に、いつまでも引っ張られます。
今日の三つを選ぶ
私は、今日の三つ、今週の三つ、今月の三つを決めています。選ぶときに自分に問うのは、私でなければできないか、軸に近づくか、の二つです。
三つという数に、特別な根拠があるわけではありません。一日の終わりに、迷わず振り返れる数だと感じているからです。三つ終われば、その日はよい一日です。
選ばなかったものは、手放してよい
三つを選ぶことは、残りを手放すことでもあります。ここがいちばん難しいところです。
私は、必ずやることと、まだやるか決まっていないことを、置き場所から分けています。必ずやることは道具に預け、まだ決まっていないことは別の場所で熟成させます。チームに任せられることは任せます。やらないと決めることも、院長の大切な判断です。手放したものは、消えたのではなく、仕組みが覚えていてくれる。そう思えると、目の前の三つに集中できます。
選ぶ時間を、仕組みにする
道具は、項目を覚えてはくれますが、選んではくれません。何を選ぶかは、人間にしかできない仕事です。だから私は、毎朝その三つを選ぶ時間を決めています。
うまくいかない時期を振り返ると、たいてい、この確認を省いています。忙しいほど頭の中だけで回そうとして、結局、何から手をつければよいか分からなくなる。気づいたら、また朝の確認に戻ります。
切羽詰まる日が来ることも、先に見込んでおきます。頑張るしかない時間を前もって分かっていれば、突然追い込まれるのとは違い、慌てずに向き合えます。
完璧に回る日は来ません。それでも、軸に照らして選び、選ばなかったものを仕組みに預ける。その繰り返しが、院長の時間を、本当に大切なことに戻してくれます。
関連して、タスクは名前で決まる ── 見ればすぐ動ける粒度まで分けるも書いています。
この考え方を自院でも取り入れてみたい医療機関の方は、「医療機関の方へ」のページからご連絡ください。
文:小森広嗣(小児外科専門医)
