上司への報告や、職場でのコミュニケーションに苦手意識を持つ新人は、少なくありません。何を、いつ、どう伝えればよいか迷っているうちに、タイミングを逃してしまう。そんな悩みを聞くことがあります。
正解探しが、行動を止める
報告に悩む人の多くは、「どうすれば怒られないか」「正解は何か」を考えすぎて、動けなくなっています。気持ちはよく分かります。誰だってミスは避けたいものです。
けれども、報告のタイミングや伝え方のこつは、頭で考えるだけでは身につきません。自転車に乗る練習と同じで、実際にやってみて、少しずつ加減をつかんでいくものです。
私も、体当たりで学んだ
研修医の頃、私も報告でよく失敗しました。「分かりづらい」「早すぎる」「遅すぎる」と、何度も言われました。当時は調べられる情報も限られていて、現場で失敗を重ねながら覚えるしかありませんでした。
医学部で学んだ知識はもちろん大切です。それでも、私の実感では、学生時代の知識はほんの一部で、現場での学びがほとんどを占めています。
いまは、仕組みで支えられる
いまは、手順や答えを簡単に調べられる時代です。それ自体は、とてもありがたいことです。ただ、答えを探しすぎて動けなくなることもあります。
だから私たちのチームでは、報告の型や、よくある場面での伝え方を、先に形にしておくようにしています。型があれば、新人は「何を伝えるか」で迷わずにすみ、「どう伝えるか」を体で覚えることに集中できます。人を増やして一から教え込む前に、迷わない仕組みを先につくる。便利さは使い、現場で体得するという在り方は手放さない。そのバランスです。
失敗は、成長の材料
失敗して注意されることもあるでしょう。それも成長の大切な一歩です。経験を重ねるうちに、いつか自分が後輩に「私もそうだったから大丈夫」と言える日が来ます。
関連して、指示どおりに動けない新人に、育てる側が伝えたいことも書いています。
この考え方を自院でも取り入れてみたい医療機関の方は、「医療機関の方へ」のページからご連絡ください。
文:小森広嗣(小児外科専門医)
