数値で診る医療と、状態を診る医療 ── 西洋医学と東洋医学を組み合わせる

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病気が「治る」とは、症状が消えることだけを指すのでしょうか。体だけでなく、心の面でも痛みや違和感がやわらぎ、本人が「元気だ」と実感できる。私は、そこまでを「治る」と考えたいと思っています。

地域の医療の目的もまた、病気を治療することだけではなく、その子と家族の毎日の質を上げることにあるはずです。

西洋医学の強みと、その外側

西洋医学は、目に見える症状を科学的に調べ、客観的なデータに基づいて治療を進めます。炎症に薬を使う、原因を手術で取り除く。原因をはっきりさせ、的確に対処できるのが大きな強みです。

一方で、検査では異常が見つからないのに、痛みや違和感が続く子どもも少なくありません。数値や画像では捉えきれない不調が、臨床の現場には確かにあります。

腹痛を、二つの視点で見る

お腹の痛みを訴える子どもを診るとき、まずは超音波などで、虫垂炎や腸重積といった見逃してはいけない病気がないかを確かめます。これは欠かせない手順です。

そのうえで、検査で異常がないのに痛みが続く場合があります。いまの国際的な分類では、こうした腹痛の多くを「腸と脳の相互作用」の不調として捉える考え方が示されています。緊張や自律神経の乱れが、腸の動きや痛みの感じ方に影響するという見方です。

ここに、体全体のバランスを見る東洋医学の視点を重ねると、お腹の冷えや巡りといった「状態」にも目が向きます。お腹を温めること、体質に合わせた漢方薬を使うことが、症状をやわらげる助けになることがあります。

状態を診る、という医療

同じ治療をしても、むくみが取れやすい人とそうでない人がいます。検査の数値が整っていても体調がすぐれない人がいれば、数値が完璧でなくても「調子がいい」と感じる人もいます。

数値で診る医療と、状態や体質を診る医療。この二つを組み合わせることで、一人ひとりにより寄り添った医療ができると考えています。

二つの視点を、仕組みで支える

二つの視点で診ることは、診察の時間を必要とします。だからこそ、病気の基本的な説明や家での過ごし方は、資料や動画で前もって受け取っていただけるようにしています。そうすると診察室では、その子の体質や生活に合わせた話に時間を使えます。

便利な道具は使う。けれども、目の前の子どもの「状態」を診るという在り方は手放さない。その両方があって、二つの医療はひとつになります。

関連して、受診の前に届ける説明は、順番で決まるも書いています。

この考え方を自院でも取り入れてみたい医療機関の方は、「医療機関の方へ」のページからご連絡ください。

文:小森広嗣(小児外科専門医)

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この記事を書いた人

小森広嗣

小森広嗣

小児外科専門医・医学博士。子どものお腹と栄養を、構造と機能の両方から診ている臨床医です。説明を診察室の外にも出し、少人数のチームでも毎日回る仕組みづくりに取り組んでいます。